//5月4日//
「いい、今日こそ一緒に遊びに行きましょう!!」
水菜はタケトに懇願するように言った。
「私がいろいろ静岡を案内するから!! そうだ、今日はイチゴ狩りに行った後で
徳川家康が奉られてる古墳を見てきて… それから日本平にいって…」
いろいろな予定を立てている… タケト自身、ゆっくりと静岡市を見てみたいと思ってたし
水菜ともいろいろ話してみたいと思っていた…
「うん、いいよ吉川!! イチゴも食べて見たいし、日本平って結構有名だものね!! 今日は、予定も特にはないからねェ〜!! 僕で良かったら吉川に付き合うよ!!」
「わぁ〜い!!」
水菜は純粋に喜んでいた。
タケトが見る限り水菜はそんなにクラスで目立つというタイプの女の子ではない…
どちらかと言うとおとなしいタイプである。
しかし、今回水菜はやたらとタケトに絡んでいった。
そんな水菜と見て、タケトは『おとなしいけど暴走する女の子』のイメージが
ついていたのであった。
「じゃあ、後で… もちろんみんなには秘密よぉ〜!!」
水菜はタケトに念を押す!!
タケトは少し戸惑っていたが、少しして
「じゃあ、みんなには秘密にしておくよ!! 2人で街まで行こう!!」
そういって、朝食を食べに行った…
しかし、その時2人はきづくはずもなかった!!
2人の後ろに今のタケトたちの話を聞いていた佐々木と武田の存在を…
「くそ〜!! タケトのやつ今日は吉川と一緒なのかぁ〜!!
奴は、ほんとに奥手だから俺たちがしっかりサポートをしてやんなければ!!」
そして、佐々木と武田による究極のおせっかい(ジャマ??)大追跡が始まるのであった。
//朝食//
「おう、タケト!! 今日は一日どうするんだい??」
武田はわざとらしくタケトに聞く!!
「うーん、今日はそこらへんをのんびりしてようと思うんだ…」
タケトはわざとらしくボケる…
「そーかそーか!! じゃあ、今日はがんばれよ!!」
この武田のわざとらしい言葉にタケトはきづくはずもなく
「うん、そーするよ♪ 武田たちや美也ちゃんはどうするの??」
なんてのんびりと聞いていた。
「うーん、俺たちは大追跡でもしようかなぁ〜なんて思ってるんだ!!
俺たちの、期待の星が飛び立つ瞬間を見たいからねェ〜!!」
タケトがその武田の言葉の意味を理解することなく朝食を済ませ、食堂を後にした。
タケトが食堂をあとにした後でまだ食堂に残っていたのは武田達の追跡グループに
加えて、美也、藤枝、銀星、烏丸、毬愛… 結局、水菜、タケトの朝を急いでる
人以外は全員まだ食堂に残っていた。
「ねえねえ、北原!! 今日は俺達と一緒に面白いことしない??」
「え、面白いことって何??」
「うーんとね、タケトが大人になれるかどうかを覗きに行くんだ♪」
「なに?? それは!!」
美也と佐々木の会話に銀星も絡んできた。
「今日、みんなに秘密でタケトと吉川さんが2人で街に出るらしいんだ… それをぼくたちが大追跡♪」
「え、吉川さんとタケト君が…」
美也は動揺を隠しきれない…
しかし、動揺してる美也をよそに、銀星はおお乗り気であった。
「いいわねぇ〜!! タケト君はちょっと前に私たちのことを追跡されたから、今度は私たちがタケト君を追跡する番ね♪
私も、その追跡劇につきあわして♪」
「もちろんですよぉ〜、銀星さん!! ついて来て下さいな!!」
「私も連れてけ!!」
相変わらず言葉は悪いが、みんなとうちとけることができた藤枝も追跡について行くらしい。
烏丸は、野暮なことはやめようという表情であったが銀星が乗り気だったせいで
烏丸にそんなことをいう発言力はなかった。
藤枝が、行くということで藤枝を心配した(と本人はあくまでそう言ってる)毬愛も
追跡班に加わることになった。
これで、美也だけがはっきりしない答えとなっていたが
「それなら、私も行くわ!! タケト君のことですもの!! やっぱきになるわ!!
何とかうまくいってほしいし…」
と言いながらも、美也の表情は複雑であった。
しかし、そんな美也も大追跡隊に加わるのであった。
//その後//
「タケト君、行きましょう♪」
「うん、いろいろ案内してね♪」
タケトと水菜はおばあちゃんの家を出発した。
「今日は楽しみィ〜♪ まず、イチゴを食べに行きましょうねェ〜!!」
そんな二人を後ろから追いかける三人の影があった。
一人は武田、一人は佐々木、そして最後の一人は美也であった。
残りのメンバーは例の銀星ワゴンで三人からの連絡を待ちながら静岡の街で合流する
予定であった。
タケトたちは、そんな影の存在にきずくことなく静岡の街を楽しんでいた。
「これから、このバスにのって久能ってとこまで行くのよ♪ そこのイチゴが美味しいんだから♪」
「そうだね、久能って言えば結構有名だからねェ〜!! 食べたことないから楽しみィ〜」
「タケト君に楽しみにしてもらえると、私も嬉しいなぁ〜♪」
その時、武田達は悩んでいた。
電車の中では、そんなにタケト達の目をきにせずに追跡ができたが…
バスの中では、どうやって追跡をしようか悩んでいた。
三人で悩んだ結果… 美也が一人でそのバスに乗り込むことになった。
三人の中で一番即興で変装できるのが美也であったためである。
タケト達が乗りこむバスに美也もあわてて乗り込み、そのバスの一本後で
武田達も追いかける。 そんな事で相談がまとまったらしい。
ともかく美也は武田達の指示をそのまま受けて、武田から携帯を受けとって
乗りこむことになった。
その間、前の席に座ってるタケト達は楽しそうであった。
美也も、その風景を見ていて嬉しかった… と頭の中では考えていた。
しかし、なにか複雑な思いをずっと拭い切れていなかったのである。
コンプレックス… 美也の頭の中を駆け巡っていた言葉である。
そんな時に、タケトが不意に後ろを振り返って美也をじっと見ていた。
美也はあせりにあせった。
しかし、タケトとは決して目を合わさずにじっとしていた。
タケトは不思議そうな顔をしてさらにこっちを見てる…
30秒位じっとこっちを見ていたのであろうか… しかし、美也には永遠のように感じていた…
「タケトくぅ〜ん 後ろばっか見てないで水菜と話そうよぉ〜♪」
「ごめん、吉川さん…」
タケトは腑に落ちない表情をしていたが、再び水菜と話しはじめた。
美也にとっては、気が抜けない緊張しっぱなしの追跡劇であった。
//久能にて//
久能… 静岡の海岸部にビニールハウスがいっぱいに広がっている
なんとも壮大な光景であった。
そんなビニールハウスがある海岸線の一つ道を挟んで、久能山東照宮がある。
日光に日光東照宮というのがあるの有名な話しであり、あの徳川家康が奉られている。
しかし、一番最初に徳川家康が奉られたのは何を隠そう久能山東照宮なのであった。
その久能山を一番上まで上ったところにロープウェイがあり、そこからロープウェイが行きつく先が日本平である。
清水エスパルスのサッカー競技場があるので有名であった。
タケト達は、そんな場所にある久能にいた。
海岸部のビニールハウスはほとんどがイチゴの栽培らしい。
そんな、全国的にも有名な久能のイチゴを食べさせてくれるのである。
やっぱりタケトはうきうきしてたのであった。
「ほらぁ〜、ここでビニールハウスの中に入ってイチゴが食べれるようになってるのよぉ〜!!」
水菜ははしゃいでいた!!
そんな様子を一人遠いところから見つめている美也。
タケトの幸せは美也の幸せ… 頭の中で考えられる美也ではあったが
どうしても、複雑な思いが消えなかった。
今日この話を聞いたときからずっと、この思いを味わって来ている。
「よぉ〜、北原!! 待たせたな!!」
「いたいた、それにしても、上手く変装してるよなぁ〜 俺達も、今北原だって事にきずかなったよぉ〜!!」
「……………」
美也は黙っていた。
なにか遠くを見つめていて、表情は泣き出しそうな…
誰もが近づきがたい表情をしていた…
さすがに、武田達もこれ以上美也に話しかけるのをやめていた。
そして、美也と一緒にタケト達の様子を見ていた。
「北原… 俺、吉川のこと好きだぜ…」
しばらくして、武田が言った言葉であった。
「タケトの事が好きな吉川を見てると… とってもけなげで… この旅で一緒にいるうちに好きになっちゃった」
この武田の発言に佐々木も動揺していた。
「お前は毬愛さんじゃなかったのか?? 俺と一緒にって言ってたジャン!!」
「うん、毬愛さんも好きなんだけど… 吉川の好きと毬愛さんに対する好きは
違うものなんだなって思ったんだ!! 極端なこといえば、毬愛さんはもし付き合ってもらえるなら
年齢なんて関係なく付き合ってもらいたかったんだ!!
でも、今回の吉川を見ててな… なんかとっても好きになっちゃったんだ…
わからない!! けど、とにかく好きなんだ!!」
「ふん、俺にはそんな事関係ないさ!! 年齢が10歳離れてようと、好きなのは毬愛さんだけさ!!
お前は、やっぱり年齢の事が気になって毬愛さんが…
最低だぜ!! 武田!!」
「違うんだ、僕も恋愛には年齢なんて関係ないと思ってるさぁ〜!!
もちろん、立場とかも全然関係ない!!
でも、吉川を好きになったって言う感情はどうしようもないじゃないか!!」
佐々木は、憮然とした表情をしていたがそれ以上はなんにも言えなかった…
美也は、2人の会話を黙って聞いていた。
相変わらずタケト達は2人楽しそうにイチゴ狩りをしている。
また三人の間にしばらくの時間が流れた。
そして、再び武田が口を開く…
「タケトもさぁ〜、あいつはああいう性格で女の子の気持ちなんか全然わかってないやつだけど…
決して、悪気があってやってる訳じゃないと思うぜ…
俺も、吉川の事が好きになったから北原の気持ちはよくわかる!!
お互いに、気持ちを理解されるまでにはいろいろ時間がかかると思うけど
がんばろうぜ!! 俺は、北原を応援するぜ!!」
いつもの美也なら、この手のフォローには必ずなに勘違いしてるの??
とかいう返答が帰ってくるのであった。
しかし、相変わらず美也は黙ったままであった。
しかし、コクリと静かにうなずいていた。
しばらくイチゴ狩りを堪能したタケトと水菜は、久能山に上り
ロープウェイで日本平に向かう計画を立てていた。
まず、東照宮にて家康の奉ってある所を見るために簡単に山登りを
すると言うものであった。
時間はもう午後になっていた。
車で来るはずの残りのメンバーはまだ来ていない…
しかたがないので三人でタケト達を追跡することになった…
「もうやめましょう…」
タケト達追跡を興味半分でしていた武田達に美也は言う…
「もう十分だわ… これ以上は……」
その気持ちをふまえた武田は、
「佐々木、帰るぞ!! 銀星さん達を呼んでもう今日は帰るんだ!!」
武田には十分過ぎるほど美也の気持ちをわかっていた。
武田にとっても、興味半分で追跡してた訳ではなかったのである。
佐々木は、戸惑いを見せたが2人のいうとおり帰ることにした。
そして、三人は銀星達と合流した…