//クラスメートとともに//
<ケーキ屋さんの外にて>
「先生たちも席をたったわ」
タケトたちは、いったん終えた追跡を、再びしなおす事にした。
せっかく、ぎんせいと思われるかもしれない女の子が目の前にいるのだ。
先生たちがケーキ屋さんを後にすると二人でバイクに乗りこんでいた。
「よし、美也ちゃん。二人の後を追いかけるぞ!」
タケトは、またバイクの準備を始めた。
「私、時間までに帰れるかしら…?」
そう、もう時計は7時を回っていた。
いつもならとっくにもう帰っている時間である。
部活関係で時間が延びたといっても、遅くても美也は九時ごろまでに帰らなければならない。
「じゃあ、今日はもうやめようか? これ以上は、美也ちゃんにも烏丸先生にも悪いし…」
「うん、わかったわ。 とりあえず、ギンと呼ぶ女性の事はわかったし、ね♪」
「じゃあ、送って行くよ。 今日は楽しかったな〜。」
「うん、私も楽しかったわ。 また、二人だけの冒険、しましょうね♪」
「おや、君たちは岩瀬君に北原さん…」
一台のバイクがタケトたちの前に止まった。
後ろに、もう一人誰かが乗っていた…
「か、烏丸先生!! こ、こんばんわ。」
「こんばんわ、烏丸先生。」
タケトたちは大分あせっていた。
「こんな時間にデートですか? うらやましいですね。」
「何言ってるんすか〜、先生。 僕らは、偶然ここにいるだけです。 せ、先生だって後ろに女性を乗せてるじゃないですか〜」
「アハハ〜、岩瀬君。 確かにそうですね♪」
「こんばんわ、ぎんせいさん」
美也は後ろの女の人に挨拶した。
女の人はおどろいたように
「なんで、私の名前を知ってるのですか?」
「だって、先生が授業中しきりにあなたの事を呼んでらっしゃったから♪ 僕の大切なぎんせい〜って♪」
「こら〜、薫。 私の前だけじゃなく、生徒の前で名前を呼ぶな」
「だって、授業中でもついついぎんせいの事考えちゃうんだもん、ぎんせいは僕のぎんせいだから」
「だからって、薫〜。 先生になって、一日目で生徒にプライベートがばれちゃしょうがないだろ。」
「だって〜、ぎんせ〜」
「だから、ぎんせいって呼ぶのはやめなさい!」
烏丸先生は、女の人に怒られている。
でも、先生は泣きそうな顔をしてても、なんか嬉しそうであった。
「ごめんよ〜、ぎんせい。 でも、大好きだよ〜♪」
いきなり突拍子もない事を言う烏丸先生。
「だから、ぎんせいはやめなさい。 それから、人の前で、堂々と好きと言うのもやめなさい。」
ぎんせいは照れながらも、先生を戒めていた。
ここで、タケトが2人に質問した。
「ぎんせいさん、なんで、ぎんせいって呼ばれるのがいやなんですか?」
「だって、私ぎんせいって本名じゃないわ。 私は、星野 銀といいます。 だから、普段薫はギンって呼んでくれてるの。」
「え、じゃあ、なんでぎんせいなんですか?」
「私も最初はわからなかったのよ、薫が勝手に銀星って呼んじゃって… でも、薫が、苗字も名前もまとめて呼びたかったらしくて…」
タケトは、最初銀星の言ってる意味がわからなかった。
でも、何かを悟ったかのように口を開いた。
「ああ、そうか。 名前が銀、苗字が星野だから銀と星野の星をくっつけて銀星なんですね。」
「岩瀬君、その通りなんですよ♪ どうですか、僕の銀星への愛情とも思われる天才的なネーミングは…」
「ちっとも良くないわよ。 普通に銀って呼べば良いのに…」
タケト達が見る限り、銀星は口でそう言っていてもまんざらでもない様子であった。
「でも、もういいわ。 生徒たちにも私の事ばれっちゃったものね。 これからは、銀星でも良いわよ、薫」
やっぱり、銀星はそう呼ばれてまんざらでもなかったようだった。
ちょっとだけ、テレ笑いも見える。
「先生たち仲が良いんですね。 うらやましいわ♪」
「おや、北原さんたちだってデート途中だったのではなかったのですか?」
美也達は、一瞬動揺してちょっと言葉に詰まったが
「い、いや、ここに2人でいるのは偶然なんです。 タケト君とは、幼なじみなのでよく2人でいるだけなんです。」
明らかに動揺をしてる答えだった。
偶然なのに、よく2人でいる… 考えてみれば、なにかがおかしい。
「わかりました、北原さん。 タケト君と仲良くネ♪」
「ちがいます〜、先生!」
タケトは、何も答えられなかった。
ただただ、顔を赤くしてるだけであった。
そんなタケトに、銀星がそっと耳打ちした。
「可愛い彼女を泣かせちゃだめよ〜、それから、烏丸先生(はあと)の事もよろしくね。」
「だから、ホントに今日一緒なのは偶然なんですってば〜」
どうやら、烏丸先生たちは2人とも似たもの同士らしい。
完全に、タケト達の事を、恋人と思われてる。
「じゃあ、失礼しますね。 岩瀬君達、今日の事は内緒ですよ〜、アハハ〜」
「そんなこといったって、先生が自分からバラしてるじゃないですか〜」
「アハハ〜、そうでしたね〜。 それでは、また明日学校で〜♪」
「さようなら〜、先生たち〜」
烏丸先生は、後ろに銀星を乗せて行ってしまった…
「先生たち、僕らの事恋人だって… なんか、まいっちゃうね…」
「そうだね、タケト君。 でも、私はそんなにいやじゃなかったけど…」
「エッ!?」
「いや、なんでもないわ。 帰りましょう♪」
2人は、タケトのバイクがある駐輪場までの短い道のりを歩き出した。
その時、2人は自然に手を繋いでた。
まるで、なんでもお互いがわかっている恋人のように…
次回予告
4月も半ばにはいってきて、大分クラスメートのみんなにも慣れた美也達四人。
サルサとミレイは毎日部活に、タケトは主婦業に専念していた。
美也も、部活やりながら、勉強と毎日忙しい生活を送っていた。
そんなとき、岩瀬家で事件が起こった。
兄の寿文が過労で倒れてしまったのだ。
兄を心配するタケト、タケトをきづかう美也。
そして、美也はタケトの家によく家事の手伝いをするようになった。
次回第2話「優しさの過去」
来週もまた見てくれなのだ♪